「徹底検証 日本の右傾化」第11章 結婚、家族を巡る保守の動き 一部要約

徹底検証 日本の右傾化 (筑摩選書)筑摩選書(2016)11章のみ。参考に『「社会運動の戸惑い-フェミニズムの失われた時代」と草の根保守運動―』(2011)、新しい分析に本田編「家がなぜ家族に干渉するのか 法案・政策の背後にあるもの」青弓社(2017.9)

 要旨

個人より家庭の重視、女性の再生産活動と性的役割分業をあてにするが「女性活躍」と美辞麗句をつかう。それを宗教右翼保守派の市民・議員が地域で政治活動をする。

 今までの経緯と分析

フェミニズム男女共同参画条例「ジェンダーフリー性教育、同性愛・両性愛を攻撃1990年代自民党が推進してきた男女共同参画安倍晋三山谷えり子の攻撃対象に

日本会議・宗教保守勢力、保守系地方議員らが男女共同参画条例や性教育をたたく

ジェンダーフリー・バッシングあるいはバックラッシュ(反動)→

2000年前半から保守派とフェミニズムの戦い。新生佛教教団統一協会(現:世界平和統一家庭連合、略して「家庭連合」)などの宗教右派

 

個人の権利や平等・社会的差別と平等・国家の権限や社会秩序と結婚・家族の変化

中野晃一右傾化する日本政治 (岩波新書)の分析

①ここ三十年ほどで不平等が拡大し個人の権利や自由が制限され、代わりに国家の権威や権限が拡張されるようになった。②政治主導である。③揺り戻しを受けながらも相互が補完しあい連携を強める中で進展している。→反動は見えづらい、が右傾化

 

2012年以降の安倍政権の動き

2012年12月から少子化対策に。

13年5月少子化危機突破タスクフォース「生命と女性手帳」で妊娠適齢期を啓蒙しようとし世論の反発を受けた。

6月に結婚促進へ方向転換。

15年3月少子化社会対策大綱閣議決定「結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない支援」と「地域・企業など社会全体の取組」政府主導での結婚奨励策、官製婚活事業の推進を決める。若い年齢での出産を実現するために教育の中で「妊娠適齢期等に関する正しい知識」「希望に応じて若い時期に結婚できるよう」「子供を持つ時期を含めた」ライフデザイン形成などが提言される。全国の自治体に「縁結びのおせっかいさん」結婚相談員の配置、マッチングシステムの普及。

2016年6月ニッポン一億層活躍プラン閣議決定。「若者たちの結婚や出産の希望を叶える子育て支援」とし「希望出生率1.8」内閣府に検討会、婚活事業の推進。

13年度から「地域少子化対策強化交付金」毎年約30億円規模の予算が地方自治体の婚活事業に。行政主導でイベント。

 結論

 2000年代はフェミニズムや共同参画を攻撃したが2012年以降安倍晋三は、「女性が輝く」や女性活躍という言葉、女性活躍推進法(16年)を制定し、一見わからない様にしている。が、家庭の自助努力、女性をあてにする家庭政策の色合いを強めている。少子化対策に名を借りた婚活支援政策での国家の家庭への介入の強化。

 

以下、私のつけたし。

 女性活躍。しかし与党自民党・行政は保育園は整備しない。労働者派遣法改悪、主婦の税の控除額改悪、介護保険の引き上げ利用基準見直し、生保基準見直し等はいったい何を意味するか。